こんにちは。Tatsuya@PT,pilatesです。
以前、骨盤の構造について、寛骨・仙骨と別々にお伝えしてきました。
関連記事①>>骨盤の構造〜寛骨〜
関連記事②>>骨盤の構造〜仙骨〜
今回は骨盤と一緒に股関節を作り、さらに膝関節の構成にも関わる大腿骨についてご説明します。
大腿骨
大腿骨は人の身体の中で、最も長く強いとされる骨で、上端・大腿骨体・下端に区別されます。
イラストは右大腿骨の前面、後面を示しており、上端は水色、大腿骨体は黄色、下端は緑色に、各部位を分けています。
一つ一つ部位を見ていきましょう。
大腿骨頭(だいたいこっとう)
大腿骨頭は半球状の大きな部位で、寛骨の寛骨臼にはまって股関節を作ります。
骨頭の中央には凹みがあり、そこに大腿骨頭靭帯が付着します。
大腿骨頭靭帯は関節包内靭帯として有名で、靭帯としての機能はほとんどなく、大腿骨頭へ血管を導く経路として働きます。
大腿骨頸(だいたいこつけい)
大腿骨頸は高齢者の転倒で頻繁に骨折する部位として有名ですね。
この大腿骨頸には輪帯と呼ばれる輪状の靭帯が取り巻いています。
輪帯は関節包の過度の伸張を制限します。
大転子(だいてんし)
触診部位として有名なこの部位は多くの筋肉が付着します。
大転子の外側面には中臀筋、前面には小臀筋と大腿筋膜張筋、尖端の後縁には梨状筋、下部には大腿方形筋、根元には外側広筋が付着しています。
転子窩(てんしか)
坐骨側から片方は輪帯、もう片方は転子窩に付着するのが坐骨大腿靭帯です。
この靭帯は関節包の後面を補強します。
大腿骨頸に捻れながら巻きつくような走行をするため、股関節伸展時にも緊張する靭帯になります。
また、転子窩には外旋六筋がいくつか停止し、上・下双子筋と外閉鎖筋、上部には内閉鎖筋が付着しています。
小転子(しょうてんし)
寛骨側から小転子上方まで、関節包の前面を補強する恥骨大腿靭帯が付着します。
また、筋肉では腸腰筋が付着する部位です。
転子間線(てんしかんせん)
寛骨側から転子間線まで腸骨大腿靭帯が付着します。
この靭帯は逆Y字型の形で、人体中最強の靭帯です。
前方関節包とこれらの股関節前面に位置する靭帯に依存した、骨盤後傾位+股関節伸展位ポジションでの立位は不良姿勢になります。
転子間稜(てんしかんりょう)
大転子の下部と転子間稜には大腿方形筋が付着します。
大腿方形筋は外旋六筋の中でも比較的大きな筋肉であり、触診もしやすいですね。
臀筋粗面(でんきんそめん)
臀筋粗面は粗線の外側唇の上方部になり、大臀筋が付着する部位です。
とても大きな筋肉で、ヒップアップするために注目されがちですが、 鍛え方を間違えるとハムストリングスが大きくなったりと、注意が必要です。
スポーツ選手は各動作においてこの筋肉を筆頭に、股関節周囲筋を使えるようにならなければ、怪我に繋がってしまいます。
また、外側広筋の起始部にもなります。
恥骨筋線(ちこつきんせん)
恥骨筋線は粗線の内側唇の上方部になり、恥骨筋が停止する部位になります。
恥骨筋は内転筋としては一番股関節に近く弱化していることも多いので、トレーニングが必要になります。
骨盤の歪みにも恥骨筋のトレーニングは効果的です。
また、恥骨筋線には短内転筋や大内転筋が停止します。
粗線(そせん)
粗線は大腿骨後面を縦に走る線状の隆起を指します。
その内側は内側唇(ないそくしん)、外側は外側唇(がいそくしん)と言います。
内側唇は上方に至ると恥骨筋線になり、外側唇は臀筋粗面となります。
粗線の内側唇には、長・短内転筋、大内転筋が停止し、内側広筋の起始部になります。
外側唇は大腿二頭筋短頭、外側広筋の起始部になります。
内転筋結節(ないてんきんけっせつ)
内側上顆のすぐ上に小さく突出する部位があり、それが内転筋結節です。
ここには大内転筋の腱が停止します。
顆部(かぶ)
大腿骨下端は内外側は大きく肥厚し、内側顆(ないそくか)と外側顆(がいそくか)になります。
内側顆の外側面前部には後十字靭帯(PCL)が、外側顆の内側後面部には前十字靭帯(ACL)が付着します。
内側上顆(ないそくじょうか)
内側顆の後上方部にある隆起を内側上顆と言います。
縫工筋と薄筋が内側上顆の後ろを回りながら腱となります。
腓腹筋内側頭の起始になります。
また靭帯では、内側側副靭帯(MCL)が付着します。
外側上顆(がいそくじょうか)
内側顆の後上方部にある隆起を内側上顆と言います。
腓腹筋外側頭の起始になります。
また、外側上顆の外側面は膝窩筋の起始部です。
靭帯では、外側側副靭帯(LCL)が付着します。
顆間窩(かかんか)
顆間窩は、内側顆と外側顆の間の深い陥没です。
この部位には膝関節の各靭帯の通り道や付着部となっています。
まとめ
大腿骨についてまとめました。
筋肉の起始-停止や靭帯の付着などを把握するのであれば、少し大変ですが、大腿骨に関してはほぼ全ての部位を網羅しなければなりません。
また、現場では大腿骨頸部骨折やその他の骨折の既往がある場合に、侵襲方法や触診も含め状態を確認する必要があります。
今回は以上になります。