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股関節の構成と運動・関節可動域

こんにちは。Tatsuya@PT,pilatesです。

今回は骨盤と大腿骨で構成される股関節についてお伝えしたいと思います。

股関節は安定性と可動性、両方ともに必要になる、とても大切な関節です。

関連記事①>>骨盤の構造〜寛骨〜
関連記事②>>骨盤の構造〜仙骨〜
関連記事③>>大腿骨の構造

股関節の構成

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【股関節の構成】

関節窩:寛骨臼(骨盤)
関節頭:大腿骨頭(大腿骨)

股関節は骨盤側が寛骨の寛骨臼を関節窩、大腿骨側は大腿骨頭を関節頭とする臼状関節(きゅうじょうかんせつ)です。

※臼状関節|球関節の1つ。多軸性関節でありどの方向にも運動が可能であるが、関節窩が深く関節頭が半分以上入り込んでいるため、可動性はやや制限される。

大腿骨頭が深い寛骨臼にはまり込んでいる構成であり、可動性は制限されます。

そのため、開脚ストレッチなどの流行により、一般的に股関節は柔らかければ柔らかい方が良い風潮にありますが、参考可動域を超えてまで体が柔らかくなることが必ずしも良いとは限りません。

 

股関節の運動・関節可動域

股関節の運動は

  1. 屈曲・伸展(矢状面)
  2. 外転・内転(前額面)
  3. 外旋・内旋(水平面)

三面状の動きに分解されます。

基本的には大腿骨頭と中心軸とした動きになります。

寛骨(骨盤)に対して大腿骨がどう動くか?という視点で股関節の運動を見ていくのですが、歩行や各日常生活動作では足部が床に着いて動かない状態になるため、視点を逆転させて大腿骨に対して寛骨(骨盤)がどのように動いているか?を見なければなりません。

各運動方向と関節可動域は以下になります。

屈曲・伸展

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屈曲の参考可動域|125°
伸展の参考可動域|15°
基本軸|体幹と並行な線
移動軸|大腿骨

屈曲は仰向け、伸展はうつ伏せで測定します。

股関節屈曲の参考可動域は125°となっていますが、実際に測定する場合は股関節だけでなく骨盤後傾や腰椎屈曲などの動きも入ってきます。

そのため測定時は股関節のみの純粋な屈曲可動域かどうか注意する必要があります。

伸展可動域は靭帯による制限を強く受けるため、屈曲可動域よりも明らかに小さいです。

屈曲・伸展可動域はともに膝関節の影響を受け、膝関節が屈曲位と伸展位では可動域が変わってきます。

外転・内転

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外転の参考可動域|40〜50°
内転の参考可動域|20〜30°
基本軸|両ASISを結ぶ線への垂直線
移動軸|大腿中央線

外転・内転の測定は仰向けで行います。

股関節の外転・内転可動域は、内旋位なのか?外旋なのか?で筋や靭帯の緊張の変化により可動域が変わってきます。

また、股関節の前方滑りなど、寛骨臼に対して大腿骨頭がズレを起こしている場合は、可動域を測定してもさっぱり参考になりません(笑)

ゴニオメーターで測定したことのある方は、下肢を動かしている最中に「股関節がグラグラして緩いな」と感じたことがあるかと思います。

その場合は測定した可動域が参考にならないことがあります。

関連記事>>股関節が前方にズレていませんか?

外旋・内旋

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外旋の参考可動域|45°
内旋の参考可動域|45°
基本軸|膝蓋骨より下ろした線
移動軸|下腿中央線

外旋・内旋の測定は仰向けで股関節・膝関節90°屈曲位のまま行います。

移動軸は下腿中央線となっていますが、膝関節の緩み加減によって可動域は10°以上変わってくることもあります。

下腿の動きを意識しすぎると測定に誤差が生じるので注意が必要ですね。

まとめ

股関節の構成と運動、関節可動域についてまとめました。

屈伸・内外転・内外旋を組み合わせると、股関節の大きな運動ができます。

今回は以上になります。