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仙腸関節、恥骨結合(寛骨-仙骨間)の関節包・靭帯

こんにちは。Tatsuya@PT,pilatesです。

これまで骨盤の構造について寛骨と仙骨を別々にお伝えし、さらにそれらの骨で構成される仙腸関節とその動きについても触れてきました。

関連記事①>>骨盤の構造〜寛骨〜
関連記事②>>骨盤の構造〜仙骨〜
関連記事③>>仙腸関節の構成と運動

今回は寛骨と仙骨を強固に繋ぐ靭帯や恥骨結合を作る靭帯などをお伝えします。

下肢帯の連結

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骨盤の連結は大きく3つに分けられます。

  1. 寛骨各部の連結
  2. 仙腸関節
  3. 恥骨結合

これらはそれ自体を作る軟部組織や関節包・靭帯などによって強い支えになっています。

そのため、上記3つの可動性は乏しく制限されています。

それぞれの連結について見ていきましょう。

寛骨各部の連結

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寛骨各部の連結は、

・寛骨骨結合
・鼠径靭帯
・閉鎖膜 

これら3つが重要な連結組織になります。

腸骨・坐骨・恥骨の骨結合

寛骨は元々、腸骨・坐骨・恥骨が完全に癒合していない状態であり思春期までは互いに軟骨結合により連結されています。

大人になるにつれて3つの骨が癒合し、1つの寛骨になります。

閉鎖膜(へいさまく)

閉鎖膜は閉鎖孔の縁に付着する靭帯性の膜です。

閉鎖孔の全てを埋めているのでなく、上部の一部分だけ空間になっており、その空間を閉鎖管と言います。

閉鎖管には閉鎖神経閉鎖動脈・静脈が通ります。 

鼠径靭帯(そけいじんたい)

ASIS(上前腸骨棘)と恥骨結節の間に張る靭帯です。

鼠径靭帯と寛骨の間にできる空洞を裂孔と言い、 この裂孔は外側と内側に分けられます。

外側の裂孔は筋裂孔と言い、腸腰筋大腿神経が通ります。

内側の裂孔を血管裂孔と言い、大腿動脈・静脈が通ります。

仙腸関節周囲の関節包・靭帯

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仙腸関節は仙骨の耳状面と腸骨の耳状面との間の平面関節です。

関連記事>>仙腸関節の構成と運動

関節包はほとんど余裕がなく、さらにたくさんの靭帯によって仙骨と腸骨は強固に連結している。

仙腸関節周囲の靭帯は

・腸腰靭帯
・前仙腸靭帯
・短後仙腸靭帯
・長後仙腸靭帯
・骨間仙腸靭帯
・仙結節靭帯
・仙棘靭帯 

これら7つが主に挙げられます。

後仙腸靭帯や仙結節靭帯は圧痛ポイントとしてよく挙げられますが、上のイラストと骨盤の歪みパターンと照らし合わせると、「靭帯が緩んでいるのか?ピーンと張っているのか?」がなんとなくイメージできると思います。

関連記事>>骨盤の歪みパターン

各靭帯を一つずつ簡単に説明していきますね。

腰腸靭帯(ちょうようじんたい)

第4、5腰椎の横突起〜腸骨稜の内唇後端部の間に張る強い靭帯です。

圧痛のポイントとしてよく挙げられます。

前仙腸靭帯(ぜんせんちょうじんたい)

仙腸関節の関節包前面を補強する靭帯です。

仙骨・腸骨の前上〜下縁の範囲に張ります。

短後仙腸靭帯(たんこうせんちょうじんたい)

仙腸関節の関節包後面を補強する靭帯です。

仙骨の外側仙骨稜〜下後腸骨棘の間に張ります。

長後仙腸靭帯(ちょうこうせんちょうじんたい)

短後仙腸靭帯を覆うように、その外側上方に走る靭帯です。

仙骨の外側縁下部〜上後腸骨棘の間に張ります。

骨間仙腸靭帯(こつかんせんちょうじんたい)

仙腸関節の間で、耳状面の後ろにある仙骨粗面〜腸骨粗面の間に張っている強く短い靭帯です(イラストには写っていません)

 

仙結節靭帯(せんけっせつじんたい)

仙骨・尾骨の外側縁と下後腸骨棘〜坐骨結節との間に張るとても強力な靭帯です。

※「ハムストリングスの緊張と関連がある」といった報告もあると思いますが、経験上あまり関係がないと思います(笑)どちらかというと仙骨-寛骨の位置関係との関連を見た方が良いかと思います。

仙棘靭帯(せんきょくじんたい)

仙骨・尾骨の外側縁〜坐骨棘の間に張る靭帯です。

仙結節靭帯の前方に位置します(イラストには写っていません) 

恥骨結合

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恥骨結合を構成する組織は

・上恥骨靭帯
・恥骨弓靭帯
・恥骨間円板

これら3つになります。

恥骨結合は左右の恥骨結合面が薄いガラス軟骨で覆われています。

その間にある恥骨間円板によって左右の恥骨結合面が連結します。

恥骨間円板は椎間円板の繊維輪に似ている組織です。

恥骨結合の上縁に上恥骨靭帯(じょうちこつじんたい)が、下縁には恥骨弓靭帯(ちこつきゅうじんたい)があり、それぞれ恥骨結合を補強しています。

まとめ

寛骨各部の連結、仙腸関節、恥骨結合を補強する靭帯などについてまとめました。

靭帯はそもそも名前がややこしいですよね(笑)

現場では骨盤のアライメント評価と一緒に、靭帯の張りや圧痛を照らし合わせています。

今回は以上になります。