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胸骨の構造

こんにちは。

前回までは脊柱を部位別でお伝えしました。

今回は胸郭を構成する胸椎・胸骨・肋骨の内、胸骨についてお伝えします。

関連記事①>>胸椎の構造
関連記事②>>鎖骨の構造
関連記事③>>肋骨の構造

まずは胸骨とその周囲の骨の位置関係を把握してみます。

イラストでは胸郭を構成する胸椎・胸骨・肋骨の他に、肩甲骨と鎖骨も記載しています。

肋骨と鎖骨が、お腹側で胸骨と関節を作っています。

さらに肋骨は背中側で胸椎と関節を作り、肩甲骨は肋骨の背面に乗っているような状態になっています。

胸骨(きょうこつ)

胸骨は胸郭の前面、中央にある細長く扁平な骨で、上から順に胸骨柄・胸骨体・剣状突起の3つで構成されています。

これら3つの骨はそれぞれ結合しています。

胸骨柄結合(きょうこつへいけつごう)=胸骨柄と胸骨体の結合
胸骨剣結合(きょうこつけんけつごう)=胸骨体と剣状突起の結合
胸骨結合(きょうこつけつごう)=胸骨柄結合+胸骨剣結合

では3つの骨と、それぞれに関連する関節や靭帯、筋などをご説明します。

 

胸骨柄(きょうこつへい)

胸骨柄は胸骨の上部にある骨で、六角形に近い形をしており、胸骨柄の下縁は胸骨体の上縁と胸骨柄結合をつくります。

胸骨柄に付着する筋は、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や舌骨下筋の一部、大胸筋(だいきょうきん)があります。

鎖骨切痕(さこつせっこん)

胸骨柄の斜め上の陥没は鎖骨切痕と呼ばれ、鎖骨の胸骨端・第1肋軟骨と胸鎖関節(きょうさかんせつ)をつくります。

胸鎖関節の関節包は緩くて厚く、関節腔は関節円板により二分されています。

関節円板があることで、鞍関節である胸鎖関節は球関節のような大きな可動性があります。

鎖骨切痕の前面・後面ー鎖骨の胸骨端の前面・後面にかけ前・後胸鎖靭帯(きょうさじんたい)が張り、胸鎖関節を補強しています。

第1肋骨切痕(ろっこつせっこん)

鎖骨切痕のすぐ下方には第1肋骨切痕があり、第1肋軟骨と胸肋関節(きょうろくかんせつ)をつくります。

この関節は関節腔をつくらずに胸骨柄と直接軟骨結合をしています。

 

胸骨体(きょうこつたい)

胸骨体は胸骨の中央に位置する骨で、胸骨柄の2倍の長さがあります。

胸骨体の上縁は胸骨柄の下縁と胸骨柄結合をつくり、胸骨体の下縁は剣状突起と胸骨剣結合をつくります。

胸骨体には大胸筋胸横筋が付着しています。

胸骨角(きょうこつかく)

胸骨柄結合部は前方に少し突出し、胸骨角と呼ばれます。

胸骨角を触診し、指を横にスライドすると第2肋軟骨に触れるため、肋骨の番号を確かめる目安になります。

第2〜7肋骨切痕(ろっこつせっこん)

胸骨体の両側縁は第2〜7肋骨切痕があり、第2〜7肋軟骨と胸肋関節(きょうろくかんせつ)をつくり、第2肋骨切痕は胸骨柄と胸骨体に跨っています。

胸肋関節は固い関節包に包まれており、関節内胸肋靭帯(かんせつないきょうろくじんたい)で関節腔が上下に2分されています。

また胸肋関節の前後には放射状胸肋靭帯(ほうしゃじょうきょうろくじんたい)が張っています。

剣状突起(けんじょうとっき)

胸骨下端の薄く細長い骨ですが、剣状突起は人により形が異なります。

剣状突起と胸骨体下縁は胸骨剣結合をつくります。

剣状突起には胸横筋横隔膜腹直筋が付着しています。

 

まとめ

今回は胸骨について見てきました。

胸骨に関連する胸鎖関節や胸鎖関節の可動性は様々であるものの、胸椎や肋骨、上肢の動きに連動して動くようになっています。

ですが、姿勢不良や加齢とともに可動性が低下していることが多く、高齢者ではほぼ可動性がないことも経験します。

今回は以上になります。