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前腕骨(橈骨・尺骨)の構造

こんにちは。

これまで肩甲骨・鎖骨・上腕骨と、上肢帯〜上肢の骨の構造についてお伝えしてきました。

今回は上腕骨の遠位部にあたる、前腕骨(橈骨・尺骨)についてお伝えします。

関連記事①>>肩甲骨の構造
関連記事②>>鎖骨の構造
関連記事③>>上腕骨の構造

橈骨

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橈骨は前腕骨の内、外側に位置する骨です。

他の多くの長管骨と同じく、上端・体・下端に区分けされます。

その特徴は、近位部が細くなっており遠位部は大きく肥厚しています。

イラストでは太字が橈骨の部位になり、青枠が上端、黄枠が橈骨体、緑枠が下端の部位を指します。

橈骨の上部前面は浅指屈筋橈骨頭、中部前面は長母指屈筋中部外側面は円回内筋中部背側面は長母指外転筋・短母指伸筋の起始部になります。

また、橈骨下部1/4前面は方形回内筋が停止します。

上端

まずは上端から見ていきます。

橈骨頭(とうこつとう)

橈骨頭は円盤の形をしており、橈骨頭上面の浅い凹みと上腕骨小頭とで、肘関節の一つである腕橈関節を作ります。

尚、橈骨頭のすぐ下の細い部分を橈骨頸(とうこつけい)と呼びます。

関節環状面(かんせつかんじょうめん)

橈骨頭の側面を関節環状面と呼びます。

尺骨の橈骨切痕と上橈尺関節を作ります。

この関節面の橈骨切痕に接していない部分は輪状靭帯に囲まれています。

橈骨体

橈骨の中央部になり、外側に軽く弯曲しているのがわかるかと思います。

橈骨粗面(とうこつそめん)

上端の近くで、内側に隆起する部位です。

この橈骨粗面には上腕二頭筋が停止します。

骨間縁(こつかんえん)

橈骨体の内側の縁を骨間縁と呼び、尺骨体の外側縁も同じように骨間縁があります。

これらの間には前腕骨間膜が張っています。

 

下端

橈骨の下端は外側に太く広がり、その下面は手根骨(舟状骨・月状骨・三角骨)との関節面になります(橈骨手根関節

下端の遠位部には腕橈骨筋が停止します。

茎状突起(けいじょうとっき)

橈骨下端の外側、下方に飛び出た部位を茎状突起と呼びます。

筋肉では腕橈骨筋が停止します。

手関節に関連する靭帯では、茎状突起の前縁に掌側橈骨手根靭帯、後縁に背側橈骨手根靭帯、先端に外側手根側副靭帯が付着します。

尺骨切痕(しゃっこつせっこん)

下端の内側は少し凹んでカーブを描いています。

その部位を尺骨切痕と呼び、尺骨の尺骨頭と接し、下橈尺関節を作ります。

尺骨

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尺骨は前腕の内側側に位置し、橈骨と同じく上端・体・下端に区分けされます。

橈骨の形状とは逆に、近位端が太く、遠位端が細くなっています。

イラストでは太字が尺骨の部位で、青枠が上端、黄枠が橈骨体、緑枠が下端の部位を指します。

尺骨後縁上部は肘筋が停止し、尺側手根伸筋尺骨頭の起始になります。

また、尺骨の近位2/3内側面・前面は深指屈筋、中部背側面は長母指外転筋・長母指伸筋、後面下部は示指伸筋、下部1/4前面は方形回内筋の起始になります。

上端

尺骨の上端の部位についてご説明します。

肘頭(ちゅうとう)

尺骨上端の後上方にある突出した部位になります。

肘頭は触診によく使われるため、押さえておきたい部位ですね。

肘頭の内側縁には内側側副靭帯(尺側側副靭帯)後部が付着します。

筋では上腕三頭筋の停止になります。

また、肘頭〜尺骨中部は尺側手根屈筋尺骨頭の起始部になります。

滑車切痕(かっしゃせっこん)

尺骨上端には切れ込みのような関節面があります。

これを滑車切痕と言い、上腕骨滑車と接し腕尺関節を作ります。

鉤状突起(こうじょうとっき)

滑車切痕の下部先端の突起を指します。

この鉤状突起は肘関節を屈曲すると上腕骨の鉤突窩にはまり込むようになっています。

鉤状突起の内側縁には内側側副靭帯(尺側側副靭帯)前部が付着します。

筋では、上腕筋が停止します。

尺骨粗面(しゃっこつそめん)

鉤状突起を下方に辿ると尺骨粗面があります。

上腕筋の停止部になります。

橈骨切痕(とうこつせっこん)

鉤状突起の外側にある少し凹んだ部位です。

この橈骨切痕は、橈骨の関節環状面と接し、上橈尺関節を作ります。

橈骨切痕の前縁と後縁には橈骨輪状靭帯が付着し、橈骨の関節環状面をぐるっと取り巻くことで橈骨頭が下方に抜けないようになっています。

また、外側側副靭帯(橈側側副靭帯)前部が橈骨頭の前面に回り込んで、橈骨切痕の前縁に付着します。

外側側副靭帯(橈側側副靭帯)後部は橈骨切痕後縁〜回外筋稜に付着します。

回外筋稜(かいがいきんりょう)

橈骨切痕のすぐ後下方から、下へ向かう稜線があり、それを回外筋稜と言います。

名前の通り、回外筋の起始部になります。

 

尺骨体

尺骨体は三角柱のようになっており外側縁は尖ったようになっています。

骨間縁(こっかんえん)

尺骨体の外側縁を骨間縁と呼び、橈骨体の内側縁にも同じように骨間縁があります。

これらの間には前腕骨間膜が張っています。

前腕骨間膜は前腕部深層筋の起始部になっています。

下端

尺骨の下端をそのまま尺骨頭(しゃっこつとう)と呼びます。

尺骨頭が手首の背面外側に飛び出し、すぐに触れることができます。

関節環状面(かんせつかんじょうめん)

尺骨頭の前外側にある関節面で、橈骨下端の尺骨切痕と下橈尺関節を作ります。

茎状突起(けいじょうとっき)

尺骨下端のさらに下方へ突出している部位になります。

手関節の靭帯では掌側尺骨手根靭帯が付着し、茎状突起の先端には内側手根側副靭帯が三角骨・豆状骨の間に張っています。

まとめ

橈骨と尺骨についてまとめました。

2つの骨は近位と遠位で形状が逆転しており、橈骨頭は橈骨の近位端になりますが、尺骨頭は尺骨の遠位にあります。

また、関節環状面も橈骨では近位にありますが、尺骨では遠位にあります。

少しややこしいので、部位を覚える時には注意が必要です。

今回は以上になります。