りはろぐ|身体の仕組みを伝えるリハビリブログ

ピラティスサロン&スクール Reed Green 川本達也の公式ブログ

手指の骨の構造

こんにちは。Tatsuya@PT,pilatesです。

これまで肩甲骨から前腕骨までお伝えしてきました。

今回はその一番遠位部にあたる手指の骨についてご説明します。

関連記事①>>肩甲骨の構造
関連記事②>>鎖骨の構造
関連記事③>>上腕骨の構造
関連記事④>>前腕骨(橈骨・尺骨)の構造

手指は8個の手根骨(イラスト青枠)、5個の中手骨(イラスト黄枠)、14個の指骨(イラスト緑枠)から構成されています。

f:id:tk-reha:20200818145910j:plain

上のイラストは手の骨を手掌面から見たものです。

手指の骨をまとめると、

・手根骨
 └近位列;舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨
 └遠位列;大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨
・中手骨
・指骨
 └基節骨・中節骨・末節骨

このようになります。

まずは一番近位にある手根骨から見ていきましょう。

手根骨(しゅこんこつ)

f:id:tk-reha:20200818150536j:plain

手根骨は手首の付け根を構成する8つの骨で、近位列と遠位列に分けられます。

近位列は舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨の4つ、遠位列は大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨の4つです。

近位列のそれぞれの手根骨間、遠位列のそれぞれの手根骨間の関節を手根間関節と呼びます。

また、近位列と遠位列の間は手根中央関節になります。

手掌面を見ると、これらの手根骨はアーチ状に構成されており、その内側縁と外側縁は手掌側に突出しています。

この手根骨のアーチを手根管(しゅこんかん)と呼び、内側縁と外側縁の間には屈筋支帯が張っています。

f:id:tk-reha:20200825122323j:plain

手根管には前腕〜手掌の屈筋腱正中神経などが通ります。

正中神経の支配領域である母指〜中指の痺れなどを起こす手根管症候群では、この部位のチェックが必要ですね。

舟状骨(しゅうじょうこつ)

近位の手根骨では一番大きな骨になります。

月状骨・三角骨とともに橈骨手根関節(手関節)を構成します。

舟状骨結節(しゅうじょうこつけっせつ)

舟状骨の母指側は肥厚して舟状骨結節となっています。

ここには先程ご説明した屈筋支帯が付着しています。

また、筋では短母指外転筋の起始部になります。

月状骨(げつじょうこつ)

舟状骨の小指側に位置する手根骨です。

舟状骨・三角骨とともに橈骨手根関節(手関節)を構成します。

三角骨(さんかくこつ)

月状骨と有鉤骨に挟まれ小指側に位置する手根骨です。

手掌面に豆状骨を載せています。

また、舟状骨・月状骨とともに橈骨手根関節(手関節)を構成します。

豆状骨(とうじょうこつ)

手根骨の内、最も小さな骨になり、屈筋支帯の付着部になります。

豆状骨は三角骨との間に豆状骨関節を持ちます。

実際に豆状骨は触診にて動かすことができますよね。

筋では尺側手根屈筋が停止し、小指球筋の一つである小指外転筋の起始部になります。

 

大菱形骨(だいりょうけいこつ)

大菱形骨は遠位列の手根骨の内、一番母指側に位置します。

筋では短母指屈筋の起始部になります。

大菱形骨結節(だいりょうけいこつけっせつ)

手掌面に見られる突出した部位を大菱形骨結節と呼び、屈筋支帯が付着します。

また、母指球筋の一つである母指対立筋の起始部になります。

小菱形骨(しょうりょうけいこつ)

小菱形骨は大菱形骨の小指側にある手根骨です。

有頭骨(ゆうとうこつ)

小菱形骨の小指側に位置し、手根骨の中で最も大きな骨になります。

また、手根骨のほぼ中央にあたります。

有鉤骨(ゆうこうこつ)

遠位列の手根骨の内、一番小指側にある骨です。

筋では尺側手根屈筋の停止部になります。

また小指球筋の内、短小指屈筋・小指対立筋の起始部になります。

有鉤骨鉤(ゆうこうこつこう)

有鉤骨の手掌面で小指側にある突起を有鉤骨鉤と呼びます。

ここにも屈筋支帯が付着しています。

中手骨(ちゅうしゅこつ)

f:id:tk-reha:20200818150559j:plain

中手骨はいわゆる手のひらにあたる部分の骨になります。

親指側から第1〜5中手骨と呼びます。

中手骨は、その近位部を中手骨底、遠位部を中手骨頭、その中間を中手骨体に分けられます。

中手骨底は遠位手根骨と関節を構成し(手根中手関節|CM関節)、中手骨頭は後述する基節骨との間に関節を持ちます(中手指節関節|MP関節)。

また、第2〜5指の中手骨底も互いに向き合って中手間関節をつくります。

筋の付着について、中手骨底の手掌面には前腕の屈筋が、手背面には前腕の伸筋が停止します。

手掌面では、第2中手骨底に橈側手根屈筋、第5中手骨底に尺側手根屈筋が停止します。

また手背面では、第1中手骨底のやや外側に長母指外転筋、第2中手骨底に長橈側手根伸筋、第3中手骨底に短橈側手根伸筋、第5中手骨底に尺側手根伸筋が停止します。

さらに母指球筋では、母指対立筋は第1中手骨の橈側縁に停止し、母指内転筋横頭は第3中手骨、斜頭は第2〜3中手骨底を起始部とします。

小指球筋では第5中手骨の尺側縁に小指対立筋が停止します。

指骨(しこつ)

f:id:tk-reha:20200818150618j:plain

指骨は近位から基節骨・中節骨・末節骨が並んでいます。

これらも中手骨と同じく、近位部を底、遠位部を頭、その中間を体に分けられます。

基節骨と中節骨の間、中節骨と末節骨の間の関節を指節間関節(IP関節)と言います。

IP関節は基節骨頭-中節骨底間の近位指節間関節(PIP関節)と、中節骨頭-末節骨間の遠位指節間関節(DIP関節)に分類されます。

母指には中節骨がないため、基節骨頭-末節骨底間をIP関節と呼びます。

基節骨底や中節骨底、末節骨底には背側骨間筋掌側骨間筋が停止します。

基節骨(きせつこつ)

前腕の筋では、母指の基節骨底の手背面には短母指伸筋・長母指伸筋が停止します。

また母指球筋の内、短母指外転筋・短母指屈筋・母指内転筋も母指の基節骨底が停止部になります。

小指球筋では、小指外転筋短小指屈筋が小指の基節骨底に停止します。

中節骨(ちゅうせつこつ)

第2〜5中節骨底には浅指屈筋が停止します。

末節骨(まっせつこつ)

第2〜5末節骨底の手掌面は深指屈筋が停止し、母指の末節骨底は長母指屈筋の停止部になります。

 

まとめ

手指の骨についてまとめました。

手根骨は足根骨と同じく細かいですよね。

これに運動学が入ってくると苦手意識が増してきます(笑)

靭帯については別記事でまとめる予定ですので、今回は触れていません。

筋に関しても簡単に触れただけですので、まずは記事のイラストを利用して骨の位置を把握してみてくださいね。