こんにちは。
前回はストレッチのポイントを運動学の視点からご説明しました。
今回は三面三軸理論を元に、不良姿勢である猫背に対しての効果的なストレッチ方法をお伝えします。
猫背姿勢の骨格的特徴
猫背姿勢を骨格から見るとどんな姿勢なのでしょうか?
猫背による身体の影響は?肩こりや呼吸との関連も解説します をご覧になるとわかりますが、
その特徴は
- ストレートネック
- 胸椎後弯
- 肋骨の下方回旋
この3つになります。
(この記事ではストレートネックについては触れません)
イラストの正しい姿勢と猫背を比べると、背中が丸くなっているからしっかり背中を反るストレッチをしないと!と思いますよね。
ですが上のイラストは三面三軸理論で捉えると、矢状面上でしか姿勢を評価できていません。
前額面・水平面では捉えていないため、矢状面上のストレッチである背中を反ることばかりに着目してしまいます。
筋肉の付着と走行から猫背を評価する。
少し視点を変えて、肋骨に付着している筋肉について詳しくみてみましょう。
まず肋骨ですが、左右12対の合計24個あります。
それぞれの肋骨の間に、肋間筋と呼ばれる筋肉があります。
外肋間筋|
起始;上位肋骨下縁
停止;下位肋骨上縁
作用;肋骨を引き上げて胸郭を広げる
神経支配;肋間神経内肋間筋|
起始;下位肋骨上縁
停止;上位肋骨下縁及び内面
作用;肋骨を引き下げて胸郭を狭める
神経支配;肋間神経
これらの肋間筋でお腹側・脇部分・背中側、肋骨の全ての隙間を埋めています。
そして、肋間筋の走行は縦だけでなく斜めであることもポイントになります。
では猫背の人の肋間筋は一体どうなっているのでしょうか?
骨格的特徴は
- 胸椎後弯
- 肋骨の下方回旋
でしたよね。
つまり猫背は背中が丸まり肋骨が下がって落ちているということです。
これは、左右12対ある肋骨のお腹側・脇部分の隙間がなくなり、背中側の隙間は開いているといることを意味します。
よって猫背姿勢での肋骨は、
- お腹側の隙間が狭い→お腹側の肋間筋は縮んでいる
- 脇部分の隙間が狭い→脇部分の肋間筋は縮んでいる
- 背中側の隙間が広い→背中側の肋間筋は伸びている
ということになります。
同じ肋間筋でも場所によって縮んでいたり伸びていたりするわけです。
三面三軸理論を元にした猫背に対する効果的なストレッチ方法
筋肉と絡めてみていくと、ストレッチに足りていない部分が見えてくると思います。
記事の最初のイラストからでは、矢状面しかイメージできず、猫背→背中を反るストレッチしか思いつきません。
これでは肋間筋の内、お腹側しかストレッチできませんね。
大切なのは矢状面・前額面・水平面の全ての面でストレッチを行うことです。
さらに猫背での肋間筋はお腹側だけでなく脇部分も縮んでおり、その走行は縦だけでなく斜めなのです。
ですので、背中を反るストレッチだけでなく、
- 脇伸ばしストレッチ
- 肋骨を捻るような回旋ストレッチ
この2つを追加することで、三面全て+肋間筋を満遍なくストレッチすることができ、それ以外の筋肉も色んな方向に伸ばせるため、効果が抜群に上がります。
脇伸ばしストレッチ(前額面)
前額面上のストレッチになります。
このストレッチは頭の上で手を組むとき、ついでに両肩をすくめると脇がしっかり伸びます。
肋骨を捻るような回旋ストレッチ(水平面)
水平面上のストレッチになります。
写真のように右肘を伸ばさずに、右手掌を後頭部に置いてもOKです。
このストレッチの注意点は腰を捻らないことです。
斜めに走行している肋間筋を伸ばし、胸椎の後弯と肋骨の下方回旋を改善することが大切です。
まとめ
運動学と筋肉(解剖学)の視点から、効果的なストレッチ方法をお伝えしました。
セラピストやトレーナーが頭の中で考えていることを噛み砕いた感じですが、色々考えると難しいので、とりあえず一つの部位を色んな方向にストレッチすればOKです(笑)
デスクワークで猫背になりがちの方は、ぜひ取り組んでみてくださいね。