こんにちは。
前々回からストレッチのポイントについてお伝えしています。
運動学の三面三軸理論を元に、不良姿勢に対する効果的なストレッチ方法をご説明していますが、今回は姿勢から見るストレッチのポイントの最後で、反り腰の方向けの記事になります。
反り腰姿勢の骨格的特徴
まずは反り腰の骨格的特徴をみてみましょう。
- 腰椎前弯増強
- 骨盤前傾
- 股関節屈曲位
この3つが特徴になります。
腰椎の前弯増強に対するストレッチなどは検索すれば、単純に腰を丸めるようなストレッチがたくさん出てきます。
ですので、この記事では"骨盤前傾+股関節屈曲位"について考えてみます。
筋肉の走行や付着から反り腰を評価する
反り腰を改善する→腰椎前弯を減少させるには、前傾している骨盤を構成する骨である仙骨の逆うなずき運動を促し、前傾している骨盤を後傾位に修正していけばOKです。
※仙骨の運動については 仙腸関節の構成と運動 をご覧ください。
ですが、骨盤ー股関節の前面に付着している筋肉が縮んでいると、骨盤前傾+股関節屈曲位は修正できません。
骨盤ー股関節周囲の筋肉についてみてみましょう。
骨盤ー股関節周囲の前面部にある筋肉
股関節の表面にある前面筋です。
大腿筋膜張筋|
起始;ASIS,大腿筋膜内面
停止;腸脛靭帯
作用;股関節屈曲,内旋,外転,膝関節伸展
神経支配;上臀神経大腿直筋|
起始;下前腸骨棘,寛骨臼上縁
停止;膝蓋骨,脛骨粗面
作用;股関節屈曲,膝関節伸展
神経支配;大腿神経縫工筋|
起始;ASIS
停止;脛骨粗面内側
作用;股関節屈曲,外転,外旋,膝関節屈曲,内旋
神経支配;大腿神経
こちらは先程の表面の筋群の深層にある前面筋です。
腸腰筋|
起始;第12肋骨,T12~L4椎体,L1~5腰椎肋骨突起,腸骨窩
停止;大腿骨小転子
作用;股関節屈曲,外旋
神経支配;大腿神経恥骨筋|
起始;恥骨櫛,恥骨筋膜
停止;恥骨筋線
作用;股関節内転,屈曲,内旋,外旋
神経支配;大腿神経,閉鎖神経前枝長内転筋|
起始;恥骨結節下方
停止;粗線内側唇の中部1/3
作用;股関節内転,屈曲
神経支配;閉鎖神経前枝短内転筋|
起始;恥骨下枝下部
停止;恥骨筋線下半,粗線内側唇の上部1/3
作用;股関節内転,屈曲
神経支配;閉鎖神経前枝
多くなりましたが、7つの筋肉が股関節の前面部にあります。
これらの筋肉は足元に向かって真っ直ぐ走行しているものはなく、全ての筋肉が斜めに走行しています。
また、前額面上で見ると股関節よりも外側に走行していたり、内側に走行していたりと様々です。
例えば大腿筋膜張筋は、起始部であるASISから大転子の方向へ斜めに走っています。
ですが、7つ全ての筋肉が股関節より前面に位置するため、反り腰姿勢では短縮している傾向にあります。
三面三軸理論を元にした効果的なストレッチ方法
両脚を伸ばして座り、前屈するストレッチはよくしますよね。
ただそのストレッチは股関節前面の筋肉を伸ばすことができません。
そこでこれから3つのストレッチをご紹介します。
皆さんが知っているものばかりだと思いますが、3つとも毎回している人は少ないはずです。
アキレス腱伸ばし(矢状面)
ポイントは骨盤の前方トライアングル(両ASISと恥骨を結ぶ三角形)を前額面と平行にポジショニングすることです。骨盤は前傾しないようにします。
前方トライアングルをご存知ない方は 骨盤チェック〜骨盤と姿勢の関係 / 骨盤の歪み〜 をご覧ください。
このストレッチはアキレス腱伸ばしではありますが、実は後ろ脚の股関節前面部を伸ばしています。
イラストでは腰を反っていますが、なるべく反らないようにしてください。
内転筋ストレッチ(前額面)
主に股関節前面にある内転筋群のストレッチになります。
イラストでは左脚の内転筋を伸ばしていますが、このストレッチもなるべく骨盤を起こし腰が反らないようにし、脚は斜め後ろに伸ばすように心がけてください。
回旋ストレッチ(水平面)
先程のアキレス腱伸ばしストレッチに捻りを加えたものになります。
これも後ろ脚の股関節前面部を伸ばしています。
ポイントはなるべく骨盤が前傾しないように注意しながら、且つ骨盤から捻り込むことです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ご紹介した3つのストレッチを継続することで股関節前面部の筋肉が徐々に伸びてくるとともに、どのストレッチでも骨盤を意識することで実は筋トレにもなっています。
筋肉の走行を考えると、満遍なくストレッチするには筋肉の勉強をしないといけないので大変ですよね。
ですが三面三軸理論さえ意識すれば、とりあえずどの筋肉の満遍なくストレッチできます。
ぜひストレッチを継続してみてくださいね。