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なぜ関節がズレるのか?〜インナーマッスルの特性〜

こんにちは。

前回「関節のズレ」についてお伝えしました。

関節のズレには"安静時のズレ"と"運動時のズレ"の2つがあり、まず治すべきズレは運動時のズレでした。

今回は「なぜ運動時にズレるのか?」特に運動時のズレの理由をお伝えします。

インナーマッスルとアウターマッスルの主な役割

まずはイラストをご覧ください。

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関節により近く、長さの短い筋肉を深層筋と言います。一般的にはインナーマッスルと呼ばれています。

関節から離れていて比較的長い筋肉を表層筋と言います。こちらは一般的にアウターマッスルと呼ばれています。

イラストを見てわかるように、筋肉の収縮を示す実線ベクトルは2方向の点線ベクトルに分解できます。(矢印の長さ=力の強さ)

このイラストから、関節面へ向かう左方への点線ベクトルはインナーマッスルが長く、上方へ向かう点線ベクトルはアウターマッスルが長いですよね。

つまり、インナーマッスルには関節を安定化させる作用が強く、アウターマッスルには骨の大きな運動を起こす作用が強いのです。

ともにデメリットもあって、特徴をまとめると、

  1. インナーマッスルは関節の近くにあり、関節の安定性を高める。
  2. インナーマッスルの筋力は弱い。
  3. アウターマッスルは関節から離れたところにあり、筋力がある。
  4. アウターマッスルはその位置や筋力の強さゆえ関節のズレを引き起こしてしまう。

このような特徴があります。

 

インナーマッスルの重要性

「インナーマッスルとアウターマッスルはどっちが重要なの?」という疑問が常々あると思いますが、結論から言うとどっちも重要です。

インナーマッスルは、関節が動くとき、受け皿とボールの関係性が崩れないように動きに先行して働きます。

《インナーマッスルで関節の安定性を高めた状態で、アウターマッスルで大きく動く》

これが運動時のズレが起こりにくい理想の筋肉の使い方であり、関節が正しく動くメカニズムです。

関節のズレが起こり痛みが出現する時は、このインナーマッスルとアウターマッスルの関係性が崩れています。

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インナーマッスルの機能低下はほぼ100%起こります。そしてアウターマッスルの機能低下もしくは過剰な収縮が組み合わさり、関節がズレて痛みが生じるのです。

運動時の関節のズレを治すには?

アウターマッスルの過剰な収縮は、一時的であれば施術で簡単に改善できます。カチカチになった筋肉を柔らかくすれば良いのです。

しかし、インナーマッスルやアウターマッスルの機能低下は施術では改善できません。

"機能低下"とは筋力や弾力性、柔軟性などの低下を意味します。

「施術で筋力を向上するのは無理でしょ!」と思いませんか?やはり運動をするしかないのです。

インナーマッスルやアウターマッスルの機能向上に運動は欠かせません。

そして、運動の中でインナーマッスル→アウターマッスルの順に筋収縮を起こし、動作を獲得することが最重要になります。

まとめ

  • 慢性痛の原因となる運動時の関節のズレは、インナーマッスルの機能低下とアウターマッスルの機能低下・過剰な収縮により起こる。
  • インナーマッスルやアウターマッスルの機能向上するためには、リハビリで運動をすることが根本的な改善になる。
  • 運動時の関節のズレを治すには、運動の中でインナーマッスル→アウターマッスルの順に筋肉が働き、関節運動・動作の獲得をすることが重要。

今回は運動時の関節のズレについて掘り下げていきました。

難しかったと思いますが、少しでも痛みの原因や改善方法を知っていただけたらと思います。

tk-reha.hatenablog.com